2011年11月7日月曜日

健全とは何か、性・暴力表現は不健全なメディアか、性差別を生むのか

Togetterでまとめた内容です。

健全とは何か、性・暴力表現は不健全なメディアか、性差別を生むのか
http://togetter.com/li/209211
Togetterでは、疑問に対する回答もしています。


sub-index
  • 健全の定義について
  • 青少年が、性・暴力表現を見ると悪影響はあるのか
  •   暴力行動と暴力表現について
  •   性に走る行動に関する考察と性表現について
  •   性行動に走る青少年への対策についての考察
  • 性メディアと女性差別に関連があるかについての考察
  • 性メディアが青少年に与える影響についての結論



健全とは何か、性・暴力表現は不健全なメディアか、性差別を生むのか
まず、『「健全」って何』という疑問から調べてみました。
そして、性・暴力表現が、本当に青少年に悪影響があるのか、心身の面から考えてみました。
加えて、個人的な観点で、性メディアが女性への性差別につながるかも考えました。


「健全とは何か。性・暴力表現は不健全なメディアか。」について考えてみました。

健全の定義について
普通・一般の人が考える「健全な子ども」の定義は、かなり曖昧ではないでしょうか(それに、大人(保護者)が思う・考える「健全」は『誰が主体』でしょうか)。
そもそも、「健全」とは何か。まず、根本的な部分から考察してみました。

まず、「健全」とは何か。辞書で調べてみた。「心身が正常に働き、健康であること」「考え方・行動が調和がとれていること」とある。心身が健康で、他人に無用に危害を与えないことが健全だろう。
個人的には、子どもが健康で元気に育ち、学校でみんなと一緒に学習し、失敗や挫折も繰り返しながらも前に進めれば、健全に育っていると思う(主体は子ども)。保護者の理想通りにガチガチに育てるのって、保護者のわがままじゃないかな(主体は大人)。
結果の方から考えると、大人になって自分で考えて行動できるよう「自立できる」ことを目標に、健康的に育てることが、健全だと考える。
大人の思い通りに育てるのが健全とは思わない。むしろ、そのように考えることは、子どもが自分の思い通りに育たないときに、虐待を誘因する。このような環境は良くない。

青少年が、性・暴力表現を見ると悪影響はあるのか
ここでは、書籍等のメディアからの視点ではなく、「なぜ暴力行為をするようになるのか」「なぜ、青少年が売春(援助交際)や望まない妊娠をしてしまうのか」という行動の原因を探る視点に立ち、その原因としてメディアの性・暴力表現が含まれるかを考えてます。

暴力表現・性表現のある創作物を「見る」ことで、「子どもの心身の健康・考え方や行動に悪影響を与える」のだろうか。調べた・聞いた範囲では、第二次性徴期以降の子どもの大部分に極端な悪影響は聞いたことがない。
暴力・性表現を見ている青少年は少なくないのに、現状で真似したというような、明確に悪影響を受けたという話を聞いたことがない。聞いたことがあるとしたら、「ムラムラしてやった」くらいだ。つまり、性欲がたまってで、性メディアと直接的関係があるケースを知らない。
ただ、6歳未満の乳幼児・小学校低学年程度に性・強い暴力表現のメディアを見せることには、精神面に対する負担の大きさから、トラウマを植え付ける可能性が高いと個人的に想像しているため反対(根拠が薄いが)。その境界線上をどこに置くかは議論すべきだが、少なくとも18歳ではないと考える。

暴力行動と暴力表現について
子どもが暴力的になるのはなぜか。理由としては、自分に不利益な状態に陥る・ストレス下の抑圧状態に置かれるなど、ストレス状態になった時に発生する。心理的に穏やかな状態で他人に攻撃的になるケースが、今の私に思いつかない。
暴力表現・性暴力表現が子どもを暴力的にするだろうか。嫌悪感からならわかるが、意味がわからなかったり、興味を持ったりする分には暴力的にはならない。
暴力表現があるゲームをプレイして、攻撃的衝動に陥るような悪影響は、ハーバード大学医学部の大規模調査で因果関係が否定されている。 http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/06/post-1015.html
映画・マンガ・アニメもゲームと同様だろう。暴力表現のあるハリウッド映画を見て、暴力的になったなんて話は聞いたことがない。
ゲームと犯罪と子どもたち ――ハーバード大学医学部の大規模調査より(Amazon)

性に走る行動に関する考察と性表現について
子どもが性行動に走るのはなぜか。今考えられるのは、「性欲が強すぎて、その衝動が抑えられない」「周囲の人がみんなもしているからと言われた」「処女・童貞でいるのが恥ずかしいと聞いた」といったのが主だろう。
前者1つは、攻撃衝動とセットになると、その結果は怖い。性欲は、人の生存本能であり、特に若年男性は強い傾向にあると考えられる。それを完全になくすことは無理だろう。なら、何らかの対策が必要だが、その一つとして性メディアで性欲を発散することは悪いと思えない。
他に性欲を発散する方法があれば知りたい。女性は性欲は我慢しやすいと聞くが、男性の方が生理的に我慢しにくい。
後者2つへの対策は、されているのか。私は社会人になるまで、大人から直接、性に関して対話したり、深い知識を得たことはなかった。今も対策されていないのではないか。
修学旅行や教室・部室の中とか、みんなが集まる中で、興味本位で性の話とかしたことはないか。あるいは、性に関する体験記事をみんなで、あるいはこっそり読んで話題にしたことはないか。
みんなが「している」と聞いて焦らないか?「やってみたら」と誘われたことはないか?子どもが性行動に走るのは、みんなと同じ事をしたい・他人と同じになりたいという「同調バイアス」によるものではないだろうか。
これらを踏まえた上で、性について描かれた創作物が子どもに与える影響は、「創作物上の性行為の知識を得る」くらいだろう。先ほどの「同調バイアス」に比べると、程度としては興味を持つ位。しかし、真似する可能性は否定できない。
あとは、「知らない・不快な描写を見て、嫌悪感を持つ」くらいだろうか。でも、親になればいつかは見ないといけない。なぜならば、私たちの多くが、異性と性行為を持つからだ。どこかでハードルを越えるし、越えないといけない。そのハードルは身体面を考えれば第二次性徴期以降だろう。
第二次性徴期以降の青少年が性メディアを見ることは不健全だろうか。性メディアを見ない・攻撃的にならないことが健全か。
人は様々なストレスに遭遇する。そんな中で攻撃衝動を持つ。その場合、なんらかの方法で解消する。それが体を動かしたりすることだったりするが、他にゲームをしたり、枕などのクッションに怒りをぶつけるなどもある。つまり、公共物・他人に危害を与えない方法で解消すればいい。
性欲も同様に、他人に危害を与えない方法で解消すればいい。第二次性徴期を過ぎると、青少年は性欲を持つ。性欲を我慢することはストレスにつながる。だから、性欲を解消することは重要だし大切。
その手段の一つに性メディアを使用して、自分一人で性欲を解消すること自体、他人に危害を与えないから問題ない。
ぶっちゃけると、性がん具の一部も問題ないと思う。逆に、妙な物を性器を突っ込んだりして、性器を傷つけるような問題を結構聞く。それだったら、専用の性がん具を正しく利用する方が、健康的だと思う。
性欲は、特に男性は身体的に精子を作る仕組みを持っている以上、なんらかの手段で処理する必然性が強い。ならば、自分で処理しないといけないが、その手段として一人で性メディアを使うこと自体、誰にも危害を与えていないので問題なく健全性を損なうことはない。
女性だって、性に関する情報で一人で楽しむ分には、誰にも危害を与えていないし自分の健康を損なわないので問題なく、健全性は損なわない。
逆に、性欲を我慢することはどうだろうか。性欲を我慢すると言うことは、先ほどのとおり、ストレスをためることになる。ストレスをためることは様々な病気を引き起こす原因となるため、健康上の悪影響がある。そして、ストレスは攻撃性を増すため、精神面でも悪影響がある。
すなわち、性欲を我慢することには心身に悪影響があり、健全ではない。このことから身体面から言えるのは、『性欲を解消する性メディアを規制することは、身体的にストレスをためることにより、病気の原因になる・攻撃性が増す要因を増やすことから、不健全になりやすくなる』ということだ。
このことは、一般的にみなさんが認識している性の考え方と、実際の心理的・身体的な機能のあり方が異なっていると言えるのではないだろうか。

性行動に走る青少年への対策についての考察
では、青少年が性行動に走ることのへ対策として何が適切か。
「性メディアを隔離し、子どもに見せない」というのはどうか。これは、根本的な対策になっていない。セックスレスでない保護者がいれば、家庭で性行為を見る機会は存在する。
ならば、セックスしなければいいのか。セックスレスの家庭は、離婚しやすくなる。離婚することは子どもの生き方にも悪影響が出る。根本的な問題解決になっていない。
それに、子どもは本能として性欲を持つ。中学生でやっちゃう子はやっちゃう。中学生の頃一緒だったクラスメイト(不良に見られるような人だけど、性格は面倒見がいい人で悪くない)は「中学の頃、セックスしてたよ」と言ってた。エロマンガ等と縁がないけど、やっちゃう子はやっちゃう。
必要なのは、学校での性教育の充実だと考えている。何を教えるべきか。今の私が性教育で追加すべきと思っているのは、(他にもあると思うが)次のとおりに考えている。
(1).「セックスとはどのような行為か(生殖行為である・性欲を解消する行為であるとともに、互いの肌を触れてコミュニケーション・愛情を確かめる行為等)」
(2).「避妊・性感染症防止の方法(低容量ピル・コンドーム等)」
(3).「避妊しないこと・性感染症予防をしないことの危険性(妊娠した場合:子育てにかかる費用と人的負担と社会的な視線・中絶費用・中絶した場合の赤ちゃんが産めなくなる危険性、性感染症にかかった場合:治療にかかる費用と時間・完治できない生死に関わる性感染症にかかるリスク)」
(4).「恋愛で処女・童貞を意識する必要はない。急いで処女・童貞を卒業する必要もないし、処女・童貞じゃないから嫌だと思う必要もない。将来結婚したいと思うような好きな人とセックスした方がいい。セックスは、社会人になってからが望ましい。」
(5).「好きでない人との性的な部分に触れることや、セックスをしてはならない。それは、強制わいせつや強姦であり、人権侵害である。」
(6).「セックスするなら、自分勝手にならず、相手とのコミュニケーションを大切にして、相手の体をいたわってほしい。」
(7).「雑誌・マンガ・テレビ等から性情報を得る機会があっても、それが相手を傷つける行為であれば、それを真似してはならない。暴力表現も同じ。」
思いつくままに書いてみたが、もっとあると思う。そしてこれは、子ども達だけが学ぶことではないと思う。成人男女(特に保護者)も勉強すべきじゃないかと考える。
なぜなら、性に初歩的な知識以外に、まともな性教育を受けてないため、子どもと性について話し合うこと自体恥ずかしいことであり、ためらうためである。また、性行為に関するトラブルは、成人男女でも抱える問題であり、セックスレス問題も加えて再度学び直す必要がある。
ちなみに性教育は、あまり勉強に身の入らない子でも、興味を持ってくれる。性教育の授業、結構真剣に受けてたのを記憶している。

性メディアと女性差別に関連があるかについての考察
話は変わるが、性メディアは、女性を差別する物、女性差別を助長するものか。
私の知人の女性で、「アダルトビデオを見た。これは女性差別だ。」と言った人を見たことがない。逆に、興味を持つ女性がいるくらいだ。当事者に差別されているという意識はないし、不当に苦痛を受けたような話は聞いたことがない。(無理矢理見せられるというケースを除けば、想像もできない)
逆に、男性の性を取り上げた「BL」「やおい」などを考えると、声高に女性ばかり取り上げるのも変に感じる。「BL」「やおい」が男性への差別を助長するものとは思えない。
「見る側」からすれば、それ自体が女性差別につながるとは思えない。あるとすれば、人や作品によって嫌悪感を感じるくらいだろう。
「提供側」であるが、小説・マンガ・アニメ・ゲームであれば、個人名などがなければ当然被害者はいない。
では、実写で撮影される場合はどうか。業界通ではないので、実態は知らない。ただ、調べたり話を聞く限りでは、撮影する側・される側において、きちんと契約はされており、不当な行為は多くないと考えるのが妥当と考えている。
もし、不当な扱いを受けていれば、強制わいせつ・強姦で訴えられるはずだ。
実写の児童ポルノの問題は何か。それは、撮影される子どもに対して性的虐待を行うという人権侵害行為を行うことが行われたこと。そして、実写の児童ポルノがビジネスとなることで、さらに児童ポルノを作るために子どもを誘拐・人身売買・性的虐待を誘発することが問題。概念の問題ではない。
では、性を商品化することは悪いことか。私の考えでは悪くないと考える。「人を商品化する」という大きなくくりで考えると、テレビに出てくる芸能人・スポーツ選手・広告に出る人・モデルなど、あらゆるものがそうだ。
性の商品化というのは「性」という魅力・特技・技術みたいなものを商品化している。他の「身体的能力」「交渉術」などと大きな差があるだろうか。(もっと言うなら、「資格」もあるかもしれない)
では、女性を差別しているのは何か。思いつくのは「宗教」「政治」「教育」「戦争」…他にもあるだろう。しかし、明確に創作メディアが直接女性差別を生んでいるケースが自分に思いつかない。
もっと言えば、性の経験がある人に対して、差別意識を持っていないか。特に、風俗業に就いている人(特に女性)に対して、差別的な目を向けていないだろうか。そちらの方がずっと差別的で問題があると思う。
性メディアでの女性への差別は、「当事者」ではなく「見る側」が行っている問題だ。そして、それは「性への潔癖症」であり、性行為のある人に対する「嫌悪感」(処女信奉)からくるものではないだろうか。
その対策は、「性メディアの規制」ではなく、性への過度な潔癖症の意識を直すことではないだろうか。でなければ、元風俗関係の人は、いつまでも社会的に不当に差別されることになる。
「性」に過敏に反応する人がいるが、何か特別な意味があるのだろうか。「生殖」「生命」と結びつくからだろうか。「恋愛」「結婚」と絡むからだろうか。「宗教」「政治」などの観点から、もっと深く追求したいところだが、この観点について、私の知識不足もあるので置いておく。

性メディアが青少年に与える影響についての結論
結局、「性・暴力表現のあるメディア」が人に与える悪影響って、きちんと性教育を受けたり、他人に暴力をふるってはいけないと教えられれば、「嫌悪感」「トラウマを引き起こす」以外ないように思う。
見ない自由はあるだろう。しかし、100%実現するというのは無理だろう。たとえは悪いが、自宅で100%ゴキブリを見ないのと同じではないだろうか。現状の区分陳列以上にいい方法があるだろうか。
私は、青少年の心身の成長を考えて、書籍側の「推奨年齢表記」「性・暴力表現あり表記」と、書店の第二次性徴期区分での区分陳列ぐらいだと思っている。もし、規制を強化するなら、具体的な理由と対応方法まで考えて欲しい。

0 件のコメント:

コメントを投稿