2012年11月22日木曜日

児童ポルノ禁止法と表現の自由は対立しないし、共存できる

児童ポルノ禁止法が進まない理由として「表現の自由」を持ち出す人がいるが、それは自分の都合のいいように法律を作ろうとしている詭弁に過ぎない。児童買春・児童ポルノ禁止法の第一条に記載してある理念を読めば、児童買春・児童ポルノ禁止法の理念は共存できる。
児童買春・児童ポルノ禁止法の理念は、実児童に対する性的搾取・性的虐待を防止するためのものである。表現の自由を大切にすべきだと言う人の中で、この理念に反対する人はいない。
創作物も対象の上で、単純所持処罰規定を加えようとするから、反対が起こっている。『子どもを利用』して「自分達が嫌悪する創作物も規制すべき」と言うから対立しているのだ。
ICPO(国際刑事警察機構)だって、児童性虐待成果物(CAM)を取り締まる方針。それに、海外でのVirtual pornographyの解釈も、実児童を撮影したものに対して加工したものを指している。物事を都合良く歪めて伝えてほしくない。
それよりも、日本における性教育の遅れやメディアリテラシー教育の遅れの方が問題である。誤った性知識は、正しい性知識で上書きできる。メディアの真似することは、メディアを安易に真似して人を傷つけないと啓発することである程度防げる。(これで防げないのは、本当の非行だ)
やるべき教育をせず、「(自分が嫌悪する)性情報は規制だ」と叫んでいる行為は、子どもに対する性教育・メディアリテラシー教育の必要性の声をかき消す行為であり、害悪である。子どもを利用して、自分の嫌悪するものを排除する行為は見苦しい。
児童買春・児童ポルノ禁止法の改正が進まないのを表現の自由のせいにしている暇があったら、子どもが自立するために必要で、将来にわたって役立つ、性教育・メディアリテラシー教育の推進をやるべきだ。



【参照】児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(児童買春・児童ポルノ禁止法) http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11HO052.html

CAM(Child Abuse Material)について言及>【参照】インターポール及び国内有識者による児童ポルノコンテンツ流通対策に関する国内外動向セミナー http://good-net.jp/acp_report_public_understanding_isp_20111208.html


追記1.
「ロリエロ作品は子どもに見せて誘惑するのに使うから規制すべき」という言う人がいるが、それは加害者の誘いのテクニックの一つでしかない。規制してロリエロ作品がなくなっても、加害者は子どもへ口達者に近付いて誘惑する。手口が変わるだけだ。規制しても子どもは救われない。
性加害者からの被害を防ぐなら、子ども側へ性教育等をして、不審な行動に警戒できるよう学習し、自衛・被害申告しやすくするべきだと思う。
過剰な純潔社会は、性についての加害・被害行為を隠蔽する社会となる。それは、子どもを含めて、みんな不幸な社会ではないのか?

海外の記事で、小中学生の娘が結婚させられ、性行為をさせられるというのを見た。日本では親族などの身近な人からの性的虐待が発生している。これらのような性的搾取・性的虐待を防止するために、国際的に児童買春・児童ポルノ禁止法で取り締まった方が、よほど子どものためになると思う。

2012年10月26日金曜日

有害情報規制問題とメディアリテラシーと教育

「子どもに有害な情報を規制して子どもを守ろう」このメッセージの問題点は次の2点だと思う。
『家庭で「メディアで流された情報をうかつに真似しない」と教えていない』
『家庭での教育を放棄して行政が法律・条例で規制するため、結果的に保護者・子どもの思想・表現の自由を奪う』

(1)行政に、子どもに伝わる情報に関して「規制しろ」というのは、保護者が家庭で教育できないことを意味している。つまり、教育問題。学校教育の問題として扱うべきだと訴えるのが正しいのに、問題から目をそらしたい(抹殺する)ために行政を使った規制の問題にしている。根本的解決にならない。
なぜ、情報への規制が根本的解決にならないか。子どもの時に情報を規制しても、大人になってから規制がなくなって、その情報への対処の仕方がわからなければ、結局いつまでも有害な情報になってしまうからだ。だから、情報への規制ではなく、リテラシーをつけないといけない。
第二次性徴期(小学校4年生~中学生)に入ったら、子どもは自立したがって、親の目を盗んでいろいろな物を見るのも珍しくない。だから、その前にメディアリテラシーを付けるべきだと思う。有害な情報があるというなら、なおさらだ。
ただ、お子さんのいる保護者の立場に立てば、第二次性徴期までの子どもに何を読ませればいいのかという心配はあると思うので、保護者がメディアの管理をしやすくするために、第二次性徴期に入り始める小学4年生までを対象とした「10歳未満推奨」という目安のマークがあると保護者は嬉しいと思う。

(2)行政が法律・条例で暴力・残虐・性表現を規制するということは、つまり、部分的ではあるが、行政が思想・表現をコントロール(検閲)するということだ。子どもであっても、それを許していいのか?家庭が子どもに接するメディアのコントロールを失っていいのか?
私は、できる限り子どもが接するメディアについては、保護者のコントロール下に置くべきだと思う。有害情報があるのならば、一定の年齢まで親がメディアのチェックをして、加えて早い(小学校低学年までの)段階でメディアリテラシー教育をすべきだと考える。
18歳未満の青少年が、小説・ドラマ・マンガ・アニメ・ゲーム等…様々なメディアについて、行政からエロ・グロをすべて規制・検閲された上でメディアと接することが、「青少年やその家族にとって健全か」と問われたら、私はこれを否定する。
ゲゲゲの鬼太郎は?ドラえもんは?クレヨンしんちゃんは?… 毒の無い作品だけにすれぱ、子どもを健全に育つとは思えない。


ちなみに現状って、性情報が出てきたら『即座に隠す』という逃避行動をとる風潮だと思う。『対処できるようにする』ではないんだよね。性情報に対して保護者が逃避行動をとる一因が、性情報を有害と見なす風潮にあるように思う。
性教育学会で「家庭で性教育をしてほしい」と言っておられてたけど、性に対して過敏になっている家庭が多い中では、どの家庭でも性教育ができるようには思えない。その意味では、現実論としては、学校でなければ性教育を教える場は基本的にないと思う。
小学校高学年以降の子どもと一緒にテレビを見て、ちょっとしたキスシーンがテレビに出ただけでもチャンネルを変えて、性関連の情報からひたすら逃避するというのは、やはり、子どもの将来のためにも家族のあり方としても、議論・教育のできない家庭という意味で『不健全な家庭』だと思う。
結局、「性について話せない」ということは、家庭の機能不全の一つなのかもしれない。親も、子どもも、家族内で隠し事ができる訳だから。



追記


「子どもに有害な情報を規制して子どもを守ろう」というのは、行政を利用した過干渉(行き過ぎた過保護)の一つだと思うんだ。


追記.2

子どもが思い通りに育たないとか、(犯罪・売春等)非行に走ったとか… その理由を『有害情報のせいだ』と言ってメディアに責任をなすりつけるのって、その子自身が抱える問題はなかったことにして、その子と向き合わずに逃避しまおうという意味で害悪だと思う。
なぜ、子どもが自分の思い通りに育ってくれないのか。理由はその子自身の心の中にあるはずなのに、その子の周囲にある「物(メディア)」に当たり散らすのは、保護者自身が子どもに向き合えてない証拠と言えるのではないか。
「子どもが言うことを聞かない・非行に走るのは、ゲームのせいだ、マンガのせいだ、携帯のせいだ、規制しろ」と言う前に、保護者は忍耐を持って子どもと向き合うべきではないだろうか。

個人の嫌悪感で「マンガ・アニメ・ゲームは絵が気持ち悪い。たぶん、子どもに害悪だ。規制しろ」と言っているなら、保護者でなければ根拠のない妄想だし、保護者であれば子どもと向き合えてない(子どもの話を聞かない)証拠だと思う。

2012年9月28日金曜日

情報の有害性・人への影響について

情報の有害性について時折議論することがあるので、考えてみようと思う。
始めに結論を出すが、『あらゆる情報において有益性・有害性の双方の面が存在し、あらゆる作品・創作物が人へ「良い影響も悪影響も与える』のが結論だ。
よく、暴力表現・ポルノ表現が子どもに悪影響を与えると言われるが、『フィクションを見て、何も考えずに他人・自然・公共物等に危害を与えることは真似してはならない』ということを学ばなければ、暴力表現・ポルノ表現が子どもに限らず悪影響を与えるのは事実だ。しかし、それをもって作品・創作物を無闇に規制するしてはならない。本質的に何をすべきかは、規制ではなく、『フィクションを真似しない』ことを学ぶことだ。

また、『ポルノ雑誌を見た子がショックを受けた』といってパニックを起こす親がいるが、これも予防と対処方法が間違っているからである。
ポルノ関連の図書類は、人によっては見たくないものだろうが、現状はほぼすべての書店・コンビニ等が雑誌をきちんと分類をしている。
予防としては、基本として性教育がある。ポルノ書籍に限らず、夫婦同士で性行為をすることもあるし、子どもが性について触れる機会はいずれにしても存在する。ならば、まず事前に性について知識を得て驚かない状況を作ることが、本来は子ども自身がショックを受ける・パニックにならないために必要だろう。
そして、ポルノ関連の図書類を見たときの対処方法としては、成人向け図書類は区分しておかれているので、下記のような対処をするべきであると考える。
  • まず、大人(保護者)が冷静になること
    大人がパニックになると、子ども自身もパニックになり、ショックを受ける
  • 「大人向けの図書のコーナーになるべく行かないように」と指導すること
  • 「大人向けの図書は見ないこと。たとえ大人向けの雑誌を見ても、中に書いてあることを、訳もわからないまま真似しないこと」と指導すること

成人向けの暴力・ポルノ図書類を見た場合、ショックを受ける、真似をするなどの悪影響があることは否定できない。でも、それは「フィクションを安易に真似しないよう指導すること」「性教育で性などを通じた好きな人同士のコミュニケーションを教えること」など、子ども自身が自分で自分の身を守れるように指導することで基本的には予防できる。それをしていない現状はまずいのであるが、そのような対策をしようとしていないのはまずいのではないだろうか。

そもそも、あらゆる情報には有益性もあれば害悪性もある。
アメリカ同時多発テロの生中継や、東日本大震災の地震・津波の様子などを見て、精神的に辛くなった人がいるはずだ。そういった害悪の面だってある。
しかし、情報は害悪だけでなく有益性もある。
その有益性の上で、私たちの豊かな生活が成り立っているし、民主主義が成り立っている。
有益性を無視して、「害悪だ、規制しろ」とばかり叫び、情報をどんどん規制することは、本当に社会のためになるのか。そして、子どものためになっているのか。きちんと考えてほしい。
安易な情報・作品・創作物の規制は、将来を担う子どもに対して、窮屈な社会生活・民主主義の崩壊などの害悪を与えかねないことを、私たちは想像し、理解しなければならない。

2012年9月27日木曜日

性暴力・性虐待加害者にとって、性教育をされていない子どもは格好のターゲットである

性暴力・性的虐待をする事にとって、性教育などを通じて、下記の内容を子どもに知られることは、大きな恐怖を感じると思われる。
  • 何が性行為・性的接触なのか
  • 性行為や性的接触は、どのような人とすべきなのか
  • 性行為をする際に気をつけるべきことは何か(性病・避妊について)
  • 何が性暴力・性虐待になるのか
  • 性犯罪・性暴力・性虐待に遭ったとき、どこに・誰に言えばいいのか
逆に言うと、これらを教えていない現状は、子どもが性的被害に遭っても、それを理解していなかったり、通報先を知らなくて暗数化してしまうことになる。この現状は、性加害者にとって、性暴力・性的虐待を行いやすい環境と言える。
上記の各項目を学校の性教育において必修化し学ぶ事ができれば、子どもの性被害防止に極めて有意義であり、また、性被害に遭ったとしても、通報場所を教えることで暗数化しづらくすることが可能となる。
性暴力・性虐待については、低年齢層に対しても行われることがあるのが現状である。しかも、加害者の多くが親族・教員など身近な人が多い。したがって、義務化した上で小学校低学年など、ある程度低い年齢で学習して性被害防止に努めるべきと考える。

「性的なことを教えたら、安易に性行為をするようになってしまう」という声があるかもしれない。これについては、年齢に応じて適切な内容の性教育を教えるべきだと考える。

ぶっちゃけて言うが、ポルノ情報に関しては、小学校高学年から中高生にかけて見る子は多い。それは、子ども自身が求めている情報であるからである。見ることの害悪性はあるかもしれないが、それ以上に当事者の子どもは性情報を求めているのである。条例で禁止しても、何らかの方法で求めてくる。ならば「本やネットにある性情報等は、何も考えないで真似をしてはならない。本などを真似て人を傷つけてはならない」と教えることが大切である。これは、学校の性教育などので、要約すれば短い時間で説明できる大切な内容ではないだろうか。
それに、情報の有害性は、ポルノ以外にもあらゆるものにある。ならば、「フィクションにおいて、相手を傷つける行為をしてはならない」という学習・啓発活動を行うことで、その有害性を取り除くことこそが大切ではないか。ポルノ・暴力表現の有害性ばかり訴えて、特定表現を殲滅させるようなことは、検閲を認めて自滅するような行為であり、逆に不健全である。

性加害者にとって、性的ないたずら・性犯罪・性虐待に及ぶ際に特に嫌がると思うのが、子ども自身が相手からされる性的な行為を理解し、それがしてはいけないと察して、声を出したりして嫌がったり、逃げたり、通報されることであろう。
つまり、性教育で性暴力・性虐待・性犯罪を学ばれることが、性加害者・性犯罪者にとって、とても嫌がることではないだろうか。
ならば、性加害者にとって嫌がることを子ども自身が学び、子ども自身が自分で自分の身を守る力(エンパワメント)を身につけることが大切になると考える。
そして、自分で自分の身を守る力は、自立する力ともなり、責任を持てる子どもを育てることにもつながる。

2012年5月22日火曜日

性に関する表現・創作物の悪影響についての私の回答

主に規制の根拠として、性に関する表現について懸念されているものについてのまとめです。
ですます調に直すとかしてないので、その点は時間があったら改善します。(たぶん、放っていると思う)


性犯罪の元となる=性暴力犯罪は、歪んだ暴力欲求が根底であって性はあくまで手段。その歪んだ暴力欲求をなくさない限り性犯罪はなくならない。性表現・性情報・性欲だけでは性犯罪を説明仕切れない。(特に痴漢・盗撮)(続く)
(続き)歪んだ暴力欲求は、過激な性表現が原因ではない。原因のひとつとして、過干渉の家庭で失敗に対する体制のない子どもの逃避手段として性的ファンタジーを実行することがある。他にも原因として、性教育による性暴力防止の啓発活動の不足もある。(続く)
(続き)性犯罪者とはどんな人かは、このサイト( 性暴力の加害者の特徴 http://anond.hatelabo.jp/20090417170833 )や、藤岡淳子著の『性暴力の理解と治療教育』を参照していただきたい。これらの性暴力の情報は、海外の文献を参照に著者自身も性犯罪者と接した上で書かれた物です。

援助交際などの性非行に走る=性教育できちんと売春の危険性などの啓発活動を怠っているためであり、そのために雑誌記事の体験談等を実際に行動してしまう

見ると過去の性被害を思い出してしまう=PTSDの可能性がある。子どもを作る際に障害となるかもしれないので、治療すべき。

子どもがショックを受ける=保護者がショックを受けて、それが子どもに伝わっている。保護者が冷静になり、子どもが見ても「大人になるまで真似してはいけないよ」とさとす位の余裕を持つべき。

子どもが真似をする=「フィクション・創作物・雑誌記事等を何も考えず真似をしてはいけない」「相手を傷つけることはしてはいけない」という基本的なことを子どもに教えるべき。それは、親のしつけや性・道徳教育の啓発活動に組み入れるべきもの。

性情報は悪影響があると裁判に判例がある=判例( http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~suga/hanrei/34-3.html )の補足意見をきちんと読んでください。科学的に証明されているとは言えず、「蓋然性」という言葉を使っています。
性情報は悪影響があると専門家が言っている=権威バイアスにかかっていて、自分で考えていません。きちんと論文等を調べ、実際の悪影響の例・性犯罪に関するニュース等と照らし合わせ、論理的に間違いがないか検証してください。
とにかく、害悪=思い込み・決めつけで、反論に理由がない。

2012年5月5日土曜日

児童ポルノ禁止法・青少年健全育成条例の「目的」と、健全育成のありかた

まず、目的から。

『児童買春・児童ポルノ禁止法』の第一条にある「目的」を自分なりに要約すると、『児童への性暴力・虐待を防止し、被害児童を保護するのが目的』と解するのが妥当と思う。 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11HO052.html
この目的を読む限り、あくまで児童への実被害防止が目的で、道徳的観点から小説・マンガ・アニメ・ゲームなどの創作物を規制するようなことは書かれていない。目的の内容はICPOの「児童虐待製造物(CAM)」の定義に合致する。

青少年の健全な育成に関する条例の目的の要約 東京都『青少年の健全な育成を図ること』(http://www.reiki.metro.tokyo.jp/reiki_honbun/g1012150001.html) 島根県『心身ともに健やかな青少年を育成すること』(http://www.pref.shimane.lg.jp/life/child/seishou/ikusei/jyourei221224.html)




青少年の健全な育成のあり方とは

どのようにすれば、子どもが健やかに育つか、その根本を調べた上で、この条例が作られたか疑問。子どもの犯罪が起きるたびに、目先で「規制しましたよ」とアピールした位にしか見えない。
子どもの健全な育成とは、当事者である子どもが心身とも健康であり、「大人になって自立できるように育つ」ことが健全だろう。
大人になっても自立できない子どもを育てる事は健全とは言わない。それは過干渉だ。大局的に考えず、当事者の思考能力を奪って守っても、子どもは自立していかず精神的に大人になれない。大人になってから困ることを実施することは不健全ではないか。
子どもの性に関して健全な育成を考えた場合、現在の性教育は必ずしも子どもの性に対する疑問・不安を解消させ、正しい性との接し方を教えているとは言えない状況にある。これは、学習面において不健全ではないか。
子どもが初潮・精通を迎える前に、必ずしも性教育を教えていない現状では、自分の身体的成長で誰にも言えない状況が発生して不安に思う子どもが少なくない。これは不健全ではないか。
逆に、小学校高学年・中学生以降の児童が成年向けのメディア(AV・成年向け写真・コミック・ゲーム等)に子どもは触れていないかと言えば、(特に男子は)触れている子どもが多いと私が知る限り感じている。
しかし、成年向けメディアに触れた子どもが必ずしも不健全に育ったかといえば、そのようなことはほとんど聞かない。実際にそのような科学的研究結果も見られない。(それが、岐阜県青少年保護条例の判決内容でも「蓋然性」という言葉から明らかである)

性暴力の加害者の特徴 → http://anond.hatelabo.jp/20090417170833

※このページに書かれてあるもののうち、内閣府の調査の引用を除いて、藤岡淳子著『性暴力の理解と治療教育』の「第1章 性暴力の理解」に書かれてあるのを確認してます。

性加害者の傾向は研究されていて、子どものうちは「親の言うことを聞くよい子」だったり、過保護(過干渉)に育てられたり、失敗を経験しなかった子どもが、逃避として性的ファンタジーを行動にして性犯罪を起こしていくタイプが多いと言われている。
性犯罪者の半数が、子どもの頃から性犯罪を開始しているとの報告がある。また、性暴力を振るう人には認知の歪みがあると言われる。
この性的ファンタジーを行動しないようにするストッパーがないのかと言えば、学校・家庭の指導もあるだろうが、その役割のひとつとして性教育による啓発活動が必要だろう。逆に性教育の啓発活動がないために性暴力が防げてない面があるのではないか。
性暴力は、性欲だけが原因で起きるわけでなく、支配欲などの攻撃欲求が絡み、弱者へ向けられたものであるとの報告がある。痴漢・強制わいせつのプロセスを考えると、この考えが自然で論理的である。
以上から、性メディアが性的に悪影響があるかについて言えば、性加害者の傾向の研究結果を見れば、「悪影響とまで言えない」と言えるのではないか。
また、暴力を振るう加害者についても、暴力表現が原因ではなく、家庭環境の問題などが原因ではないだろうか。

性加害者の傾向から、子どもへの過干渉な子育て等の問題、性教育で性情報を安易に真似してはいけない等の啓発活動をしないことは、青少年の健全な育成を考える上で不健全と考える。条例は、これらの解決にむけた内容にすべきではないだろうか。

もっとも、大阪みたいな家庭に過剰に介入するような条例には反対だが。

あと、子ども自身が性メディアに興味を持たないのに見せつけることは健全だとは思わない。ただ、性メディアをスルーする能力を子どもが身につけることは必要かなと思う。




もっと、性暴力被害者保護に力を入れて欲しい

私の彼女についてだが、性的被害に遭ったことを大人になっても認識できず、私と話をして私から指摘されて初めてそれが性被害に遭ったということを認識した。つまり、性暴力に遭ったことさえ理解できないため通報せず、結果的に暗数化することがあるということ。
性暴力に遭ったことを自覚できないということは、後になってから性暴力に遭ったことを自覚して、心的外傷ストレス障害・うつ病・解離性同一性障害等を発症しかねない爆弾を子どものうちに抱えるということだ。
本当なら、真っ先に性教育で被害に遭ったことを自覚できるようにすべきだと思うが、性被害に遭った後のサポート体制について、日本は弱いのが現状ではないだろうか。性被害に遭った時のサポート体制を充実させた上で、性教育で性被害について教えることが大切だと思う。
児童買春・児童ポルノ禁止法の目的は、児童への性的暴力・虐待をなくし被害児童を保護するものである。目的に沿って、性暴力被害に遭った児童(できれば全年齢)に対して、積極的に性被害者保護を推進することが政策として必要ではないか。
性加害者の研究の観点からも、生理的な観点からも、子どもへの性暴力(実際は性暴力全般)に対して、他の情報と比べて悪影響があると言えない性・暴力描写の創作物を規制するより、性被害者保護を明確に法制化することの方がもっと大切ではないか。

2012年4月20日金曜日

性犯罪被害の話、他(2012-4-20)

性犯罪被害に遭った話

彼女から、車で自宅に送迎の最中に、性犯罪被害に遭った事について、いろいろ聞けた。
小学校低学年の頃、知らないおじさんが小学生の彼女の手をとって、おじさんの股間を触らされたということがあったらしい。しかし、当時その行為を理解できなかったとのこと。たぶん性犯罪として通報してないだろう。
加害者が被害者の手を掴んで性器を触らせる等の性暴力を理解できなかったが故に、通報しないで暗数になったケースが結構あるのではないだろうか。(小学生低学年だから15年くらい前の1990年代後半かな)
同じく小学校低学年の頃、知らないおじさんに追い回されたこと。そのおじさんが、しばらく自宅の周りをうろついていたということ。
高校生の頃、雨の日にバスに間に合わないでずぶ濡れになった時、知らない男性が車の中から声をかけて来て、その車に乗ったらタオルを渡され「きれいだから」と言って拭いたが変な匂いがした。今思えば、あれは精液のかかったタオルだったみたい。(僕と出会って初めて被害に遭ったのを理解)
ある仕事関係の人から、何回もエロい写真を撮影されたこと。しかも、胸など体を触られた。彼女は気が弱い上に当時は新人で、取引先の人なので性暴力のターゲットとして狙われたかも。彼女の妹弟とも会っているが、妹からは「あの人怖い」と言われ、弟も「嫌い」と言っていた。
最近だと、平日の昼間に駐車場でスーツ姿の男性から声をかけられて、いきなり彼女の車の扉を開けて「デートしよう」と言われたこと。最後には訳がわからないけど告白されたという。聞く限り、行動が明らかにセックス(強制わいせつか強姦)目的。
いずれも、おそらく本人も保護者・教師も通報していないだろう。身近で性犯罪被害者数の統計の暗数になっている性暴力被害者がいたわ。
ちなみに、彼女は気が弱いタイプ。今日も、某所に一人で行けなかったので同伴した。部屋に入る前に躊躇したので、手を引っ張って一緒に入ったら、自分も巻き込まれてヘトヘトに…(´Д`;) 「後押ししてくれてありがとう」と後で感謝されたので虐待行為じゃないということで…
主観でしかないけど彼女は、小中高の学生時代は大人より心身とも弱い立場であること、社会人になっても素朴で気弱に見られていたことから、彼女が弱者をターゲットにする性暴力者のターゲットにされやすかったのかなと思った。

あと彼女に妹がいるけど、妹は彼女より気が強くて、ナンパ以外特に性的なことで嫌な思いをしたことは、ほとんど聞いたことがないと言っていた。
まだまだ性加害者の傾向を調べる必要があると思うけど、性暴力被害者である彼女の話を聞く限りは”性加害者は弱いものをターゲットに狩りをするイメージだなぁ”という印象を持った。





性欲と性的興奮について

あと、エッチな本についても話が出たな。小学校低学年の頃、エッチな本を見たことがあって、大人の本は大抵難しくて興味がなかったけど、エッチな本は興味を持って見ていたとのこと。ただし、エッチな本を見ても興奮してエッチな気分にはならなかった、理解もできなかったとのこと。
高校生の頃、官能小説を貸してもらって読んだ後、エッチな気分になった。それまではムラムラすることはなかったとのこと。小学生から高校生の間の第二次性徴期に性メディアを見たときの反応が変わったか、高校生まで自身が興奮するものを見ていなかったか。
最近は、本を読まなくても性欲でムラムラすることはあるとのこと。これから20代後半になるので、もっと性欲が強くなるだろうな。

2012年4月18日水曜日

メディア規制について(2012-04-18)

Twitter上での発言をここにも記載。


忘れないように、メモ的に復習。耳タコだと思うけど(汗)。

児童ポルノ法・青少年健全育成条例(法)でのメディア規制強化は、『子どもに有害な”はず”』という「保護者・大人の安心」「団体・行政側のエゴ」のためであり、多数の被害者の実害報告・学術・科学的視点がない以上「子どもの安全のため」ではないと考えるのが妥当。

性教育の視点・性暴力はどのような心理で行われるのか(攻撃、支配、優越等の欲求を性という手段で満足させる暴力、DVみたいな暴力のサイクル)などの学術・科学的研究で議論すべきだと思う。責任転嫁らしきものを除くと、性メディアの直接の性被害者は聞いたことがない。

子どもの性非行は性教育の問題や家庭などの子どもの周囲の環境の問題だったりするし、大人が子どもへ性暴力をする問題は性に関する認知の歪みの問題や家庭内・カップルDVの性暴力が子どもに向いたもの等の問題のはず。

性メディアの規制ばかり考えないで、もっと女性センターや児童相談所と連携して児童への暴力を防止する対策をしたり、援助交際等の性非行を防止するための教育・啓発活動をしてほしい。

2012年4月13日金曜日

創作物・メディア規制の法律は『思想弾圧法』である

近年の動きで、児童買春・児童ポルノ禁止法や青少年健全育成条例で、創作物に対する規制を強化する動きは活発である。
規制する側の言い分は「子どもを守るため」と言う。しかし、実際は「自分にとって気持ちが悪い。子どもには悪影響があると”思う”から、規制してほしい」というもので、『憶測』でしかない。あるいは特定の宗教思想を法律で広めたいという『宗教が政治に介入する』というものだったりする。行政側としても「手柄を立てればキャリアとして昇進できる、できなければ昇進できない」というものだから、方針が決まったら、是が非でも通したい。

厳しいことを言うが、近年のマンガ・アニメ・ゲームを中心とした、創作物に対する規制強化に向けた条例・法律改正の動きは『「思想弾圧法」を作ろうとしている』としか言えない。
要は、戦前の治安維持法みたいなものだ。

「表現」とは何か。それは、「頭で考えたことを形にする」ということだ。
つまり、思想と表現は、ほとんどくっついたものである。
だから、創作物という「表現」を法律で取り締まるということは、頭で考えたらいけないということに限りなく近くなる。なぜなら、それを落書きでもした時点で違法になるということだ。

法律で規制すべきものはある。
特に明確に言えるのは、他人を傷つける行為である。
児童買春・児童ポルノ禁止法は、「児童に対する買春を行うことで、心身に危害を与える」「児童ポルノ作成の際に児童に対して性的虐待行為を行う」という、明確な有害行為をなくすために法律を作って規制するものである。
では、創作物(例えば、子どもが性行為をしているようなマンガとか)を取り締まる理由は何か。誰かに危害を与えているのだろうか。
おそらく害があるとすれば、「見た人が気持ち悪くなる」というものだろう。しかし、あらゆる情報において、「見た人が気持ち悪くなる」情報はよくあるものであり、正しい対処法は『無視する』が基本で、『法律で取り締まれ』というのは子どものわがままみたいなことである。(例として良くないかもしれないが)別の荒っぽい言い方をすれば『お前の顔は気持ち悪い。法律で取り締まれ』と言っているのと同じだ。
余談だが、あらゆる情報は有害になりうる。例えば、アメリカ同時多発テロの画像だったり、東日本大震災の動画だったりする。あれを見ると、人によっては被災者みたいに”うつ”になるなど、有害になる情報はいくらでもある。

児童買春・児童ポルノ禁止法や青少年健全育成条例の創作物規制に対して「表現の自由を侵そうとしている」ということで運動してきた。
青少年健全育成条例は「流通規制であり、表現の自由を侵すものではない」と言うが、『表現の自由とは、知る権利とセット』であることから、発信したものが受け手に届かない時点で表現の自由を侵すものであると言っていい。
しかも、成人向けの図書類のうち、性・暴力表現について、明確な有害性は認められていないどころか、有害ではないという研究がいくつも見られている。
加えて、思春期に入るまでに、青少年が性に興味を持つことは通常は当たり前のことであり、むしろ性に無関心な方が心配になるのが普通ではないだろうか。ただしい対処は、性教育などでの有害とされる情報への対処方法であり、情報の遮断ではない。情報を100%遮断することは無理か、逆に有害である。
話を戻す。
表現の自由は思想の自由に大きく関わることから、「表現の自由を規制する」ということは「思想の自由を規制する」のとほぼ同じと言える。
つまり、「マンガ・アニメ・ゲーム等で表現してはいけない」というのは「考えてはいけない」というのと同じ「思想弾圧」だ。

みなさんのうちで「性について考えてはいけない」「暴力について考えてはいけない」というのを守れる人はどれだけいるだろうか。
少なくとも、”時に自分が持つ怒り””子どもを持ちたい””恋人・妻を愛したい”という感情を持つ自分は、そんな完璧な聖人みたいなことは守れない。

2012年4月9日月曜日

井ノ本リカ子先生の『30歳の保健体育』の感想

井ノ本リカ子先生の『30歳の保健体育』全2巻を読みました。ふんわりした感じの絵で、個人的に大好きな絵柄です。
松江市内のコミック専門店に置いてあったので、購入したものです。ちなみに、原作は未読です(;´Д`)

恋愛も絡めた20~30歳台の大人向けの、良い性教育マンガだと思いました。どちらかというと男性向けですが、女性が読んでもいい内容だと思います。実際の、恋愛から始まりセックスに至るまでの流れに近いなと思います。
性行為の経験がない人向けには、参考になる作品だと思います。私としてはペッティングもあるべきかなという気がしましたが、(これも本書に描いてないですが)セックスの前戯に含めていいと思います。

読んで思ったのは、内容は比較的実践的で参考になるのですが、マンガであるためか、現実と違う架空っぽい感覚がぬぐえない感じがありました。より真実味を持たせるに、話と話の間の幕間1ページ位を別途、具体的な恋愛・キス・セックス等の文章解説ページを用意するといいなと思いました。
…マンガでは現実っぽく感じず、文章の方が現実っぽく思えるのは、皮肉な感じです…

セックスについては、鳥山仁先生の「本当に正しいセックス」(三和出版)の解説がより具体的・実践的で良書だと思います。セックスの準備に必要なこと、セックスの始まりから終わりまで、一通り書いてあります。

現在の大人向けの性に関する情報となると、どうしても興味本位の雑誌記事になっちゃうので、できればこのようなセックスに関する正しい知識が得られるような作品が増えるといいように思います。

できたら、恋愛から性教育までの正しい情報を提供する大人向けのメディアの普及を行政が推進してくれると、少子化対策にも多少貢献できていいと思うのですが、そんな虫のいい話はできないですよねー。


コミック

30歳の保健体育(1) (IDコミックス REXコミックス)(Amazon)
30歳の保健体育 (2) (IDコミックス REXコミックス)(Amazon)


参考書籍

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