始めに結論を出すが、『あらゆる情報において有益性・有害性の双方の面が存在し、あらゆる作品・創作物が人へ「良い影響も悪影響も与える」』のが結論だ。
よく、暴力表現・ポルノ表現が子どもに悪影響を与えると言われるが、『フィクションを見て、何も考えずに他人・自然・公共物等に危害を与えることは真似してはならない』ということを学ばなければ、暴力表現・ポルノ表現が子どもに限らず悪影響を与えるのは事実だ。しかし、それをもって作品・創作物を無闇に規制するしてはならない。本質的に何をすべきかは、規制ではなく、『フィクションを真似しない』ことを学ぶことだ。
また、『ポルノ雑誌を見た子がショックを受けた』といってパニックを起こす親がいるが、これも予防と対処方法が間違っているからである。
ポルノ関連の図書類は、人によっては見たくないものだろうが、現状はほぼすべての書店・コンビニ等が雑誌をきちんと分類をしている。
予防としては、基本として性教育がある。ポルノ書籍に限らず、夫婦同士で性行為をすることもあるし、子どもが性について触れる機会はいずれにしても存在する。ならば、まず事前に性について知識を得て驚かない状況を作ることが、本来は子ども自身がショックを受ける・パニックにならないために必要だろう。
そして、ポルノ関連の図書類を見たときの対処方法としては、成人向け図書類は区分しておかれているので、下記のような対処をするべきであると考える。
- まず、大人(保護者)が冷静になること
大人がパニックになると、子ども自身もパニックになり、ショックを受ける - 「大人向けの図書のコーナーになるべく行かないように」と指導すること
- 「大人向けの図書は見ないこと。たとえ大人向けの雑誌を見ても、中に書いてあることを、訳もわからないまま真似しないこと」と指導すること
成人向けの暴力・ポルノ図書類を見た場合、ショックを受ける、真似をするなどの悪影響があることは否定できない。でも、それは「フィクションを安易に真似しないよう指導すること」「性教育で性などを通じた好きな人同士のコミュニケーションを教えること」など、子ども自身が自分で自分の身を守れるように指導することで基本的には予防できる。それをしていない現状はまずいのであるが、そのような対策をしようとしていないのはまずいのではないだろうか。
そもそも、あらゆる情報には有益性もあれば害悪性もある。
アメリカ同時多発テロの生中継や、東日本大震災の地震・津波の様子などを見て、精神的に辛くなった人がいるはずだ。そういった害悪の面だってある。
しかし、情報は害悪だけでなく有益性もある。
その有益性の上で、私たちの豊かな生活が成り立っているし、民主主義が成り立っている。
有益性を無視して、「害悪だ、規制しろ」とばかり叫び、情報をどんどん規制することは、本当に社会のためになるのか。そして、子どものためになっているのか。きちんと考えてほしい。
安易な情報・作品・創作物の規制は、将来を担う子どもに対して、窮屈な社会生活・民主主義の崩壊などの害悪を与えかねないことを、私たちは想像し、理解しなければならない。